〜だけど今日も愛してもらうため ママのように可愛い女の子になっておく〜
<< 七夫(ななせ)さん 好きだったんですね おじさんのこと・・・「虹のち青空」(カメイ与五郎太) | main | どんなに私が黒くなっても、私のそばにいられる・・・?『こどものじかん』(私屋カヲル) >>

スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

* - * - * - * pookmark * *

先生がかわいがってくださらないと、衛は満たされません・・・『蜜は夜よりかぎりなく』(崎谷はるひ)

崎谷 はるひ
角川グループパブリッシング
¥ 580
(2008-04-01)

JUGEMテーマ:BL小説


恋は上手にあどけなくシリーズの志澤と藍の後日譚を描いた表題と、シリーズのプロローグともいえる、若くして亡くなった藍の親族・衛(えい)の、孤独と福田への渇望で綴られた半生を描いた「逆理 -Paradox-」の短編2作が該当。他一篇収録。

「逆理 -Paradox-」

昭和四十年代。高度経済成長時代後期の日本――
著名な日本画家であり、偏屈な人嫌いで有名な父・清嵐とともに神奈川の片田舎で暮らしていた衛(えい)は、
若くして新宿に事務所を持つ画商の青年・福田功児(こうじ)と出会うことになる。

「若い人の夢を応援したい」という福田に、外の世界の美術や上流の社会に連れ出される衛。
それまで父からの抑圧のせいで好きなことができない自分の境遇を呪っていた衛は、自分の絵についても真摯に向き合ってくれる福田とすごすうちに、いつか彼のものになりたいと思いはじめる。
そしてほどなくして福田から施される情愛。ふたりだけの籠の中で、幸せな日々は続くかと思われたが――
恋は上手にあどけなくシリーズで、福田の囲われ稚児として(ほぼ名前だけとなりましたが)登場した藍の親族・衛。
シリーズ中で福田がすべてを投げ打ってでも求めようとした衛。彼が福田と出会い、別れるまでの7年間をシナリオのように綴られています。

以前画像付きレビューした少年人形に非常に良く似た、BLなのに非常に男性向けに近い作品でした。
個人的には対になる作品という言葉がしっくりきます。

本編を読んだ時点では、福田が衛に様々な意味での暴力を与えたことで、それに堪えかねた衛が彼のもとを去る・・・という流れでしたが
実際には衛自身の心も福田のそれと同じように何かが欠けており、それがうまく噛みあっていたために、大きなひずみが二人の間にできてしまったのだということ、
そして福田との別離にも、おそらくは衛にしか理解できない(福田は理解できるかも知れないけれど)であろう衛自身の事情があり、それぞれが二人が離れざるを得ない状況を作り上げてしまったのだと読み取れました。

衛を人形としか扱えず、心を無視せずに衛自身を愛することに畏怖した福田。
福田を父性の完璧な存在としてしか見ず、愛されること認められることだけを追い求めた衛。

幸せを求めたはずだった彼らの、実際には互いが互いを、そして自分自身さえも愛することを怖れた歪な関係が崩れていく様子は
当たり前のようでもあり、やはりどこか悲しいものがありました。

『何故、私達は、貴方が仰るところの“くだらない世間”によくあるような、やさしく情を絡ませる関係で、穏やかにいられたのでしょうか。何故、私は貴方から逃げる道を選んでしまったのでしょうか。』


うつくしくない自分を福田に見られてしまうことを生涯恐れた衛。
もし、衛の絵を見て絶望したときの福田に、この衛の手紙がとどけられていたら。
福田はあのとき藍に問い掛けられた言葉に、なんと答えていたでしょうか。

「世間は冷たく、陰湿で厳しい。そこできみたちはそうして、まるで日の当たる道を歩くような顔で、いつまでいられるのかな。何も縁のない、男がふたりして生きていくなど、甘い夢のような絵空事でしかあり得ないのに。」


本シリーズ最終巻である『恋は上手にあどけなく』での福田が藍に投げかけた言葉は、
皮肉にもそのとき藍が、そして過去には衛が、彼自身に問い掛けた言葉への答えになってしまっていました。
本心では衛を愛していたことなどわかっていたはずなのに、自分自身の中ですら認めることができなかった福田は、あのあと衛を想って泣くことができたのでしょうか。
どうか少しでも悲しくない結末であってほしいと、私は願っています。

* BLノベルス * comments(0) * trackbacks(0) * pookmark * *

スポンサーサイト

* - * - * - * pookmark * *
コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
http://koisuruotouto.jugem.jp/trackback/3
トラックバック
ATTENTION

このブログでは、年上の男の人に父親を求めてしまう「おとこの娘」が登場する作品を男性/女性/成年/一般向問わず扱います。
売春やセックス依存・不特定多数との性交などの表現のある作品も取り扱います。抵抗のある方は閲覧をお控えください。    →本家サイト

1
SELECTED ENTRIES
CATEGORIES
ARCHIVES
LINKS
RECENT COMMENT
  • どんなに私が黒くなっても、私のそばにいられる・・・?『こどものじかん』(私屋カヲル)
    AtoZ (08/27)
  • どんなに私が黒くなっても、私のそばにいられる・・・?『こどものじかん』(私屋カヲル)
    志波康之 (01/17)
  • どんなに私が黒くなっても、私のそばにいられる・・・?『こどものじかん』(私屋カヲル)
    カドルト (01/11)
  • どんなに私が黒くなっても、私のそばにいられる・・・?『こどものじかん』(私屋カヲル)
    底辺ドカタ (10/03)
  • どんなに私が黒くなっても、私のそばにいられる・・・?『こどものじかん』(私屋カヲル)
    まなぶ (07/14)
  • どんなに私が黒くなっても、私のそばにいられる・・・?『こどものじかん』(私屋カヲル)
    がんちゃん (07/02)
  • どんなに私が黒くなっても、私のそばにいられる・・・?『こどものじかん』(私屋カヲル)
    いのっち (03/10)
  • どんなに私が黒くなっても、私のそばにいられる・・・?『こどものじかん』(私屋カヲル)
    なんぞコレぇぇえぇ!!!! (02/11)
  • どんなに私が黒くなっても、私のそばにいられる・・・?『こどものじかん』(私屋カヲル)
    オラわくわくしてきたぞw (02/07)
  • どんなに私が黒くなっても、私のそばにいられる・・・?『こどものじかん』(私屋カヲル)
    ちょっとは木馬隠せw (02/02)
おとこの娘ニュース
モバイル
qrcode
powerd
SPONSORED LINKS